病院薬剤師時代にキツかった業務!?抗がん剤の調製で大変だった実体験
こんにちは。アシオです。
2023年 12月より休職中のHSP気質の薬剤師です。(2024年2月現在)
薬剤師歴10年の中で2回の転職を経験しました。
① 400床を有する基幹病院 (2年)
② 地域に根差した中小調剤薬局 (4年)
③ 全国にチェーン展開している大手調剤薬局 (4年)
今回は①の病院時代に経験した抗がん剤調製で大変だったことについて書きたいと思います。
・『抗がん剤の調製業務』について知りたい人
・『病院への新卒就活』、『転職』を考えている人
アシオが勤めていた病院の抗がん剤調製
・調製者 1人
・監査者 1人 (ダブルチェック体制)
・月曜日〜金曜日の午前中 (3〜5時間)
(緊急で土日に調製を行うことが2年間で1件ありました)
・若手薬剤師 5〜6人でローテーションしながら調製
抗がん剤調製で大変だったこと3選
① 3〜5時間ぶっ通しで調製…
『抗がん剤』や『TPN』など輸液の調製は、バイ菌が入らないよう無菌的に行います。
❶ 手洗いの徹底
❷ ガウンの着用
❸ キャップ、ゴーグルの装着
❹ 手袋を2重に装着 など
また、『安全キャビネット』という装置内で作業を行います。
1日の患者数により前後しますが、多いときで『17件』の調製を行っていました。
その間、『お昼ご飯』はおろか『トイレ』にもいけません…
トイレには行こうと思えば行けましたが、『手洗い』や『着替え』を一からやり直さなければならないため、基本は我慢してそのまま続けます…
私は、『トイレが近い体質』なので、抗がん剤を調製する日は『朝ご飯』や『水分摂取』を控えていました。
また、『長時間の集中』が必要な業務のため、終了後は精神的にも肉体的にもクタクタでした。
② 被曝の危険性…
抗がん剤の調製は被曝の危険性があります。
抗がん剤は『悪さをしている癌細胞』だけでなく、『正常な細胞』も攻撃するため、体内へ投与することで脱毛や吐き気、下痢などの副作用が出てきます。
『安全キャビネット』という装置内で作業するため被曝量は限りなく少ないですが、調製者への影響はゼロではないようです…
抗がん剤のミキシングは安全キャビネットという装置を用いて行います。 安全キャビネットとは無菌状態を確保する他、ミキシングする者が抗がん剤により曝露することを防ぐ装置です。
私が勤めていた病院でも連日同じ人が調製しないように若手薬剤師でローテーションが組まれていました。
③ 間違いが許されない緊張感…
抗がん剤の調製を間違えれば、『患者の命』に関わります。
監査者との2人体制でダブルチェックを行っている施設がほとんどなので、『経験年数が少ない』方でも安心して業務にあたれるかと思います!
調製に対する心配は比較的少なかったですが、個人的には、『抗がん剤がとても高価な薬』だったことが1番のストレスでした。
治療を受ける方の病状によりますが、1瓶“数十万円”の薬を『2瓶』使う患者の調製は毎回緊張して行ってました。
『調製に失敗してしまった抗がん剤』は使い回すことができず破棄するしかないためです。
監査担当の上司から
調製を失敗したらアシオくんの給料から天引きね!
と言われたこともあります…
まとめ
抗がん剤の調製は比較的大きな病院で働かなければ行えない業務かと思います。
今や『国民の2人に1人』がガンになる時代と言われています。
また、どの製薬メーカーも『分子標的薬』と言った抗がん剤の開発に勤しんでいるため、これらの知識習得は今後必須となりえます。
抗がん剤の関連図書もたくさん発売されていますが、やはり実際に触れて、投与後の経過をカルテで確認できる病院の勤務はスキル向上に最適な場かと思います。
抗がん剤の調製は緊張感を持った業務になるため、覚悟を持って行いたいところですね。
これから『病院へ就活する』方や『病院への転職を検討している』方の参考になれば幸いです。