薬剤師の卒後研修の義務化?メリットとデメリットについて考察
こんにちは。アシオです。
2023年 12月より休職中のHSP気質の薬剤師です。(2024年4月現在)
今年の3月に厚生労働省より『薬剤師臨床研修ガイドライン』が出されました。
薬剤師臨床研修ガイドライン 令和6年(2024年)3 月 厚生労働省
今回は『薬剤師臨床研修ガイドライン』を読んで感じた『メリット』、『デメリット』について書きたいと思います。
・薬剤師臨床研修の『概要』について知りたい人
・薬剤師臨床研修の『メリット』、『デメリット』について知りたい人
薬剤師卒後臨床研修とは?
令和3年6月30日に厚生労働省より公表された『薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会』の取りまとめが行われました。
その中で医師や歯科医師と同様に『薬剤師も免許取得直後の臨床研修』が重要であり研修プログラムや実施体制等について検討すべきとされました。
卒後研修のガイドライン
ガイドラインは『卒後臨床研修の到達目標』や『研修の方略』などを示しており、主に研修施設や指導薬剤師向けに研修実施方法等を概説したものとなっています。
(1)臨床研修の基本理念
(2)到達目標
(3)研修の方略
(4)到達目標当の達成度評価
(5)指導環境・指導体制
到達目標
卒後研修の到達目標は以下の2つになります。
① 医療機関や地域医療の現場で薬学の視点をチーム医療に反映するための臨床能力を養成すること
② 医療人としてのプロフェッショナリズムを自らのものとし、基本的薬剤師業務の実践スキルを習得すること
具体的な研修項目
具体的な研修項目は『必須研修項目』と『選択研修項目』に分けられます。
● 必須研修項目
・調剤業務
・医薬品の供給と管理業務
・医薬品情報管理業務(DI業務)
・病棟業務
・無菌調製
・がん化学療法
・在宅訪問(在宅医療・介護)
・医療安全
・感染制御および地域連携
● 選択研修項目
・TDM業務
・ICU・小児・産婦人科・精神科の薬物治療
研修期間
研修期間は『原則として1年以上』となっています。
① 臨床研修は『調剤業務』から開始する(3カ月間程度)
② 『病棟業務』は4カ月目以降に開始する(6カ月間程度)
③ 地域連携については病棟業務の期間を中心に年間を通じて実施し、在宅訪問については研修後期(10~12カ月目)に実施する
研修施設の基本条件
研修施設の基本条件としては、以下の要件を満たしていることが求められます。
(1)臨床研修に必要なプログラムを有すること
(2)研修者の育成を行う体制を支援する管理者が設置されていること
(3)臨床研修期間中に経験すべき薬物治療、症例の種類・数が確保できていること
(4)臨床研修に関わる施設・設備が整っていること
卒後研修のメリット
薬剤師の臨床能力を高めることができる!
筆者は『病院と薬局の両方で働いた経験』がありますが、金銭的な余裕があるのであれば『最初は病院での勤務』をオススメしたいと考えます。
なぜなら、病院でしかできない業務が多いためです!
病院で経験できる業務
・『医師』や『他の医療従事者』との合同カンファレンス
・入院中の患者のモニタリング
・抗がん剤の調製
・抗がん剤投与患者の容態確認(副作用など)
そのため、卒後臨床研修が義務化することで『薬剤師の臨床能力の向上』につながると考えます。
病院での研修を終えた薬剤師が『薬局』や『ドラッグストア』へ転職することで、地域医療で大いに力を発揮することでしょう!
卒後研修のデメリット(懸念点)
奨学金を借りている人への対応…
卒後研修の義務化で大変になるのが、『奨学金を借りている薬学生』だと考えます。
私も『奨学金を1,000万円借りた状態』で病院へ就職しましたが、手取り20万で月々5万円の返済は大変でした…
給与体系によっては『生活が困窮する新卒薬剤師』が出てくる可能性もあります…
まとめ
薬剤師の卒後臨床研修について書きました。
薬剤師の職種向上のために卒後の研修は有用だと考えます。
一方、研修時の給与体系によっては奨学金を借りている薬学生には厳しい状況になる可能性もあります…
チーム医療における薬剤師の役割は日に日に大きくなっています。
また、『卒後臨床研修を受けた薬剤師』と『それ以前の世代』と分けられる可能性もあります。
日々、研鑽していきましょう!