第一世代と第二世代の抗精神病薬の比較!特徴や違いについて解説

こんにちは。アシオです。
2023年 12月より休職中のHSP気質の薬剤師です。(2024年4月現在)
SNSで若手薬剤師向けの勉強アカウントを運営しています。

抗精神病薬は種類が多く、併用もされやすいため『とても複雑な分野』です。
今回は『第一世代』と『第二世代』の抗精神病薬の違いや『それぞれの特徴』について書きたいと思います。
・薬剤師1〜3年目の人
・抗精神病薬の使い分けに自信がない人
・『第一世代』と『第二世代』の違いや特徴を学びたい人

抗精神病薬 (メジャートランキライザー)とは?

抗精神病薬(メジャートランキライザー)は『統合失調症』や『幻覚』、『妄想』などに用いられます。
強い抗精神作用を持ち、マイナートランキライザーでは対応できない『極度の不安』などを取り除くことができます。

第一世代と第二世代の違い
抗精神病薬は、『第一世代』と『第二世代』の2つに分類できます。
第一世代 抗精神病薬 (FGA : First Generation Antipsychotic)
第一世代の抗精神病薬として『コントミン(クロルプロマジン)』と『セレネース(ハロペリドール)』があります。
コントミン(クロルプロマジン)
セレネース(ハロペリドール)
特徴
① ドパミンD2受容体を遮断
→ 陽性症状(妄想、幻覚)を改善
② 中脳-黒質線条体のドパミン濃度を下げる
→ 錐体外路障害の副作用!
③ 体重や血糖値などの『代謝系への影響』が少ない!
第二世代 抗精神病薬 (SGA : Second Generation Antipsychotic)
第二世代の抗精神病薬には『SDA(セロトニン・ドパミン受容体遮断薬)』や『MARTA(多元受容体標的化薬)』、『DPA(D2受容体部分作動薬)』などがあります。
セロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA : Serotonin-Dopamine Antagonist)
SDAには『リスパダール(リスペリドン)』、『ルーラン(ペロスピロン)』、『ロナセン(ブロナンセリン)』、『ラツーダ(ルラシドン)』があります。
リスパダール(リスペリドン)
ルーラン(ペロスピロン)
特徴
① ドパミンD2受容体遮断 + セロトニン5HT2受容体遮断作用
→ 陽性症状(妄想、幻想)を改善 + 陰性症状(意欲の減退)を改善
→ 『第一世代』の副作用である“錐体外路障害”を軽減!
② 『体重増加』や『高プロラクチン血症』などの副作用あり!
(高プロラクチン血症はSDAの中で『リスパダール』が頻度多い)

多元受容体標的化薬(MARTA)の比較
MARTAには『ジプレキサ(オランザピン)』、『セロクエル(クエチアピン)』、『シクレスト(アセナピン)』、『クロザリル(クロザピン)』があります。
ジプレキサ(オランザピン)
セロクエル(クエチアピン)
特徴
① ドパミンD2受容体遮断 + セロトニン5HT2受容体遮断作用
→ 陽性症状(妄想、幻想)を改善 + 陰性症状(意欲の減退)を改善
→ 『第一世代』の副作用である“錐体外路障害”を軽減!
② 『食欲亢進』や『体重増加』の副作用が多い!
→ 糖尿病患者への投与禁忌 (オランザピン、クエチアピン)
③ ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1受容体、ムスカリン受容体への拮抗作用!
→ 強い『鎮静作用』!

まとめ
『第一世代』と『第二世代』の抗精神病薬の比較を書きました。
臨床の現場では、副作用の少なさから『第二世代の抗精神病薬』が活躍している印象です。
一方、ご年配の精神科医だと『第一世代を併用する』こともあるので、錐体外路障害などに注意が必要です!

抗精神病薬の併用時は『クロルプロマジン換算』を考慮すると副作用のリスクを管理しやすいです!

引き続き、抗精神病薬についてまとめていくので是非ご覧ください!




今回の記事を書くにあたり『下記図書』を参考にしました!
分かりやすくまとまった良書なのでご興味ある方は是非手に取ってきてください!