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バルプロ酸とラモトリギン併用時の注意点!薬剤師が分かりやすく解説

フリーランス薬剤師 ハル
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こんにちは。フリーランス薬剤師のハルです。

フリーランス薬剤師は「即戦力」としての勤務が求められるため、幅広い知識が必要となります!

双極性障害の治療では、躁状態の安定のために『抗うつ薬』と『気分安定薬』が併用されることが多いです。

今回は『併用されることが多い』気分安定薬の中で、デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)ラミクタール(ラモトリギン)併用時の注意点について書きたいと思います。

こんな方に読んでほしい

・薬剤師1〜3年目の人
・『気分安定薬』の使い分けに自信がない人

・デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)とラミクタール(ラモトリギン)の併用時の注意点を知りたい人

双極性障害とは?

双極性障害は、『躁うつ病』とも言われます。

うつ症状憂鬱な気分、意欲の低下)と躁症状気分の高揚、万能感)を交互に繰り返す状態です。

気分安定薬とは?

気分安定薬は、双極性障害の『躁病相』を緩和するために『抗うつ薬』と併用する薬です。

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気分安定薬には『リーマス(炭酸リチウム)』、『デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)』、『テグレトール(カルバマゼピン)』、『ラミクタール(ラモトリギン)』があります。

気分安定薬の『特徴』や『違い』が知りたい方は下記記事をご覧ください!

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デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)

特徴
躁病相(イライラ感や衝動性)の緩和に効果的!
妊婦に禁忌
胎児の催奇形成の報告あり
ラミクタール(ラモトリギン)との併用注意

ラミクタール(ラモトリギン)

特徴
① 抗うつ効果
およびうつ病相の再発予防効果あり
妊婦に対して比較的安全
③ 副作用 : 重篤な皮膚障害四肢、体幹、顔面の小発疹
→ 危険因子 : 急な増量デパケン錠の併用
デパケン(バルプロ酸ナトリウム)との併用注意

併用注意のメカニズム

デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)ラミクタール(ラモトリギン)併用注意のメカニズムは下記表になります。

① グルクロン酸抱合の競合
② 尿中への排泄が阻害
③ ラミクタール(ラモトリギン)の血中濃度が上昇!

① グルクロン酸抱合の競合

デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)ラミクタール(ラモトリギン)共に肝臓グルクロン酸抱合を受けます!

グルクロン酸抱合とは、肝臓で行われる代謝反応の一つです。
脂溶性が高い(油っぽい)薬に体内のグルクロン酸と結合し、水溶性の高い(水っぽい)代謝物となり、腎臓から排泄されます!

② グルクロン酸の枯渇

デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)とラミクタール(ラモトリギン)を合わせて飲むことで、体内のグルクロン酸が枯渇してしまいます。

③ ラミクタール(ラモトリギン)の血中濃度が上昇

グルクロン酸抱合を受けずに体外に排出されなかったラミクタール(ラモトリギン)が血中濃度の上昇を起こし、重篤な皮膚障害を引き起こします。

ラモトリギンの増量方法

これらを踏まえ、2015年2月にデパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)ラミクタール(ラモトリギン)の併用についてブルーレター(緊急安全性情報)が出されました。

厚生労働省 抗てんかん薬、双極性障害治療薬「ラミクタール錠」投与患者における重篤な皮膚障害に関する注意喚起について

これらを併用する場合は、ラミクタール(ラモトリギン)の段階的な増量が必要になります。

最初の2週間1回25mg隔日に経口投与

次の2週間1日25mg1日1回経口投与

③ その後は1〜2週間毎に1日量として25〜50mgずつ漸増する。

維持用量1日100〜200mgとし1日2回に分割して経口投与
(通常は最大400mg/日まで)

まとめ

デパケン錠(バルプロ酸ナトリウム)ラミクタール(ラモトリギン)併用時の注意点について書きました。

実際の臨床現場でも、上記2剤が処方されることは度々あります

重篤な皮膚障害を回避するためにも、しっかり確認しましょう!

引き続き、精神科領域の薬についてまとめていくので是非ご覧ください!

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ハル
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今回の記事を書くにあたり『下記図書』を参考にしました!

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