AD/HD治療薬の比較!特徴や違いについてわかりやすく解説
こんにちは。アシオです。
2023年 12月より休職中のHSP気質の薬剤師です。(2024年4月現在)
SNSで若手薬剤師向けの勉強アカウントを運営しています。
今回はAD/HD治療薬について『特徴』や『違い』などを書きたいと思います。
・薬剤師1〜3年目の人
・『AD/HD治療薬』の使い分けに自信がない人
・『AD/HD治療薬』の特徴や違いを学びたい人
AD/HDとは?
『AD/HD(注意欠如/多動 障害)』とは発達障害の一つです。
AD : Attention Deficit 注意欠如
H : Hyperactivity 多動性
D : Disorder 障害
AD(Attention Deficit) : 注意欠如
『注意』や『関心』を保つことが難しいです。
もしくは一つの物事に注意関心を向けると、それにハマりすぎてしまう人もいます。
具体的な症状として以下のものが挙げられます。
・物事に集中できない
・注意力が続かずトラブルを起こしやすい(車の事故、忘れ物など)
H(Hyperactivity) : 多動性
『落ち着きがない』、『じっとすることができない』といった症状です。
具体的な症状として以下のものが挙げられます。
・教室の椅子にじっと座ることができない
・衝動的な行動(ケンカや口論、欲しいものを我慢できない)
AD/HD治療薬の比較
AD/HD治療薬には『コンサータ(メチルフェニデート徐放錠)』、『ストラテラ(アトモキセチン)』、『インチュニブ(グアンファシン)』、『ビバンセ(リスデキサンフェタミン)』があります。
コンサータ(メチルフェニデート徐放錠)
作用機序 : ドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害
規格:18mg、27mg、36mg
適応
・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
特徴
① 第一種向精神薬(日数制限あり→30日まで)
→ 登録医のみ処方可能!
② OROS(浸透圧放出システム)を利用した徐放錠
→ 効果発現時間が早く(1〜2時間)、持続時間が短い(約12時間)!
(飲む日、飲まない日を作ってOK!)
副作用
・食欲不振 →『服用初期』や『増量時』に起こりやすい(40.8%)
(朝の服用 → 昼の食欲が減退しやすい…)
・不眠 → 服用が遅れた場合に起こりやすい
(朝食後の服用を徹底することで軽減)
禁忌
・『チック』や『トゥレット症』の既往歴、家族歴
・MAO阻害薬 投与中または中止2週間以内
・狭心症、不整頻脈
ストラテラ(アトモキセチン)
作用機序 : 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害
規格:5mg、10mg、25mg、40mg
適応
・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
特徴
① 効果持続時間が24時間と長い!
② 発現時間に2〜4時間かかる
③ 液剤あり!(先発 : ラズベリー味、後発 : グレープ味)
副作用
・悪心、食欲不振 →『服用初期』や『増量時』に起こりやすい
(服用を続けることで徐々に軽減する)
・頭痛
・傾眠
禁忌
・心血管阻害
・褐色細胞腫
・閉塞隅角緑内障
・MAO阻害薬 投与中または中止2週間以内
インチュニブ(グアンファシン)
作用機序 : 選択的アドレナリンαA2受容体作動
規格:1mg、3mg
適応
・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
特徴
① 効果発現に1〜2週間掛かる
(服用タイミングは朝でも夜でも可!)
② 海外では『チック』や『トゥレット症』の合併、治療にも使われる
(日本では適応外)
③ 投与前や用量変更時は、1〜2週間後にバイタル測定や心電図検査が推奨
18歳未満の用法用量(下表参照)
体重 | 開始量 | 維持量 | 最大量 |
17〜25kg未満 | 1mg | 1mg | 2mg |
25〜34kg未満 | 1mg | 2mg | 3mg |
34〜38kg未満 | 1mg | 1mg | 4mg |
38〜42kg未満 | 1mg | 3mg | 4mg |
42〜50kg未満 | 1mg | 3mg | 5mg |
50〜60kg未満 | 2mg | 4mg | 6mg |
63〜75kg未満 | 2mg | 5mg | 6mg |
75kg以上 | 2mg | 6mg | 6mg |
・増量は『1週間の間隔』を空けて、『1mgずつ』維持量まで増やす!
・中止する場合は3日間以上かけて徐々に減量する!
副作用
・低血圧、徐脈 → 失神を起こす可能性あり
(服用開始から1ヶ月以内の間で起こりやすい)
・傾眠
禁忌
・房室ブロック
ビバンセ(リスデキサンフェタミン)
規格:20mg、30mg
適応
・小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
特徴
① 第一種向精神薬(日数制限あり→30日まで)
→ 登録医のみ処方可能!
② 他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用可能
まとめ
AD/HD治療薬について特徴や違いをまとめました。
・コンサータ(メチルフェニデート徐放錠)は、効果発現が早く持続時間も短いため、学校や仕事がある日だけ飲むことができる!
・ストラテラ(アトモキセチン)は、持続時間が長く、液剤もあるため6歳以上の小児も飲みやすい!
・インチュニブ(グアンファシン)は、禁忌や消化器系の副作用が少ない!
引き続き、精神科領域の薬についてまとめていくので是非ご覧ください!
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