2024.04.14 2024.06.02

セロトニン・ドパミン受容体遮断薬の比較！特徴や違いについて解説

アシオ / 薬剤師 / 医療ライター

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こんにちは。アシオです。

２０２３年１２月より休職中のHSP気質の薬剤師です。(２０２４年４月現在)

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抗精神病薬は種類が多く、併用もされやすいため『とても複雑な分野』です。

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今回は抗精神病薬の中でもセロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA)について『特徴』や『違い』などを書きたいと思います。

こんな方に読んでほしい

・薬剤師１〜３年目の人
・抗精神病薬の使い分けに自信がない人
・セロトニン・ドパミン受容体遮断薬(SDA)の特徴や違いを学びたい人

Contents

抗精神病薬 (メジャートランキライザー)とは？
セロトニン・ドパミン受容体遮断薬（SDA）とは？
セロトニン・ドパミン受容体遮断薬（SDA ）の比較
まとめ

抗精神病薬 (メジャートランキライザー)とは？

抗精神病薬(メジャートランキライザー)は『統合失調症』や『幻覚』、『妄想』などに用いられます。

強い抗精神作用を持ち、マイナートランキライザーでは対応できない『極度の不安』などを取り除くことができます。

マイナートランキライザーとは『抗不安薬』を指します。

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セロトニン・ドパミン受容体遮断薬（SDA）とは？

セロトニン・ドパミン受容体遮断薬（SDA : Serotonin-Dopamine Antagonist）は、第二世代抗精神病薬（SGA : Second Generation Antipsychotic）に分類されます。

統合失調症の『陽性症状（妄想、幻覚）』だけでなく、『陰性症状（意欲減退）』まで改善します。

また、第一世代抗精神病薬の副作用である『錐体外路障害』を軽減することも大きな特徴です。

第二世代抗精神病薬の特徴

① ドパミンD2受容体遮断 + セロトニン5HT2受容体遮断作用
→ 陽性症状(妄想、幻覚)を改善 + 陰性症状(意欲の減退)を改善
　→ 『第一世代』の副作用である“錐体外路障害”を軽減！

② 『体重増加』や『高プロラクチン血症』などの副作用あり！
（高プロラクチン血症はSDAの中で『リスパダール』が頻度多い）

アシオ

『第一世代』抗精神病薬との違いについては下記ブログをご覧ください！

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セロトニン・ドパミン受容体遮断薬（SDA ）の比較

SDAには『リスパダール（リスペリドン）』、『ルーラン（ペロスピロン）』、『ロナセン（ブロナンセリン）』、『ラツーダ（ルラシドン）』があります。

リスパダール（リスペリドン）

**画像引用：**https://www.qlife.jp/meds/rx3083.html

規格：０.５mg、１mg、２mg

適応
・統合失調症
・小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

特徴
① 豊富な使用実績！（世界１００カ国以上）
→ 第二世代抗精神病薬の代表的存在！
② 剤形も豊富！（OD錠、液剤、持続性注射剤など）
③ SDAの中で『高プロラクチン血症』を一番生じやすい
→ 血液脳関門を通過しにくいため
④ 食事の影響を受けない！（食前服用可）
⑤ 『小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性』の適応あり！

ルーラン（ペロスピロン）

**画像引用：**https://www.qlife.jp/meds/rx13022.html

規格：４mg、８mg、１６mg

適応
・統合失調症

特徴
① 適応は統合失調症のみ
② 治療効果は『リスペリドン』と同等！
③ セロトニン5-HT1A受容体にも作用
→ 錐体外路障害の副作用が少ない！
④ 空腹時の服用でCmaxとAUCが減少する

	食後	空腹時
Cmax	０.９ng/m L	０.５ng/m L
AUC	１.７ng・hr/m L	０.７ng・hr/m L

ルーラン（ペロスピロン）の食事の影響
参考：薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け１００

ロナセン（ブロナンセリン）

**画像引用：**https://www.qlife.jp/meds/rx13254.html

規格：２mg、４mg、８mg

適応
・統合失調症

特徴
① 適応は統合失調症のみ
② 治療効果は『リスペリドン』と同等！
③ 起立性低血圧や食欲亢進、体重増加の副作用が少ない！
→ ヒスタミンH1受容体やアドレナリンα1受容体への親和性が低いため！
④ CYP3A4で代謝されるため『併用薬』や『グレープフルーツジュース』の影響を受けやすい
⑤ 空腹時の服用でCmaxとAUCが減少する

	食後	空腹時
Cmax	０.１４ng/m L	０.０６ng/m L
AUC	０.８３ng・hr/m L	０.３６ng・hr/m L

ロナセン（ブロナンセリン）の食事の影響
参考：薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け１００

ラツーダ（ルラシドン）

**画像引用：**https://www.qlife.jp/meds/rx47964.html

規格：２０mg、４０mg、６０mg、８０mg

適応
・統合失調症　（MAX ８０mg/日まで）
・双極性障害におけるうつ症状　（MAX ６０mg/日まで）

特徴
① 『双極性障害におけるうつ症状』の適応あり
② 副作用が少ない！（ふらつき、食欲亢進など）
→ セロトニン5-HT1A受容体へ作用！
→ ヒスタミンH1受容体やアドレナリンα1受容体への親和性が低い
③ CYP3A4で代謝されるため『併用薬』や『グレープフルーツジュース』の影響を受けやすい